人材ビジネス戦略研究会 勉強会
テーマ:人材ビジネスの広告媒体について 2004年8月31日
講師: 株式会社内藤一水社 小池 純一氏
(無断転載禁止)
正社員希望者の増加
・ 景気が良いと派遣よりも正社員の希望者が多くなり、人材派遣業界では要員不足となります。
・ 2004年度統計で正社員希望者はフリーター400万人と言われる中70%で、雇用形態にこだわる方が増えています。
・ 慢性的に不足している営業職・メディカル職(治験中心)・販売職・金融コールセンター関連職など、派遣人材が集まらない状況です。
正社員希望者の取り込み
・ 広告内容によって、正社員希望者を派遣へと活用していくのが今後の課題で、「とらばーゆ」なども派遣のシステムの説明や、紹介記事を多くして、勧誘のバックアップをしています。
広告媒体の使い方
・ 派遣社員の訴求ターゲットは、就職・転職顕在層と潜在層の両層を意識して正社員希望・派遣希望の両面からのメディアミックスで効果を上げる事が大切です。
・ ネット媒体・紙媒体の併用が必須です。
・ 派遣会社の広告の主要目的は
@ スタッフ確保
A 就労中のスタッフへの次の仕事が安定しているという安心感
B 派遣先企業への営業のバックアップ
新聞 | 首都圏 朝日340万部/読売450万部/日経120万部 ジャパンタイムズは全国で6万部 |
情報誌 | リクルート系:B−ing、とらばーゆ、ガテン、フロムA、タウンワーク |
学生援護会系:デューダ、サリダ、an | |
フリーペーパー | タウンワーク、jobアイデム、Domo、ユメックス |
ちらし | アイデム、ユメックス、クリエイト、アポルテ |
・ 朝日/読売/日経の合計は、人材ビジネスがシェアのトップです。
・ 紙媒体ではずしてならないのは「とらばーゆ」と「日経新聞」です。
効果的な広告とは
・ 自社の特徴をアピール
レギュラー広告 | 登録スタッフを募集する広告 |
スポット広告 | しぼりこんだ案件に関する広告 |
条件マッチングの広告 | 企業オーダー(勤務地/職種/時間給)を羅列 |
・ 条件マッチングの広告は
業界用語の多用/写真・イラストなどのビジュアル面の強調/形容詞表現のみで具体的裏付けにかけているなどの理由で近年効果が落ちています。
レギュラー広告の効果をあげる
@ 初めての応募の方の為にも、派遣会社の固有の特色をアピールする。
A 応募者側の希望職種や、業界に専門特化しているというメッセージ
B 正社員・契約・アルバイトよりもメリットがあるワーキングシステムであるという点を強調する。
C 紹介予定派遣という、就職希望者にとってメリットがあるシステムを内容に盛り込む。
D 仕事の相談・ケアだけでなく、育児の事、家庭の事など、オンもオフも対応しますという姿勢を全面的に打ち出す。
E 広告内容については、訴求ターゲットを具体的に、年齢・実務経験の有無・異業界からのキャリアチェンジはOKなのか、転居などでブランクがある人には再デビューを促すような表示の仕方をする。
F 緊急性ですぐ来社を勧める。
G 「登録常時受け付け」「随時受け付け」の表現では、かえって行くタイミングを逃すので、曜日を指定する。
日曜日掲載の場合は、月・火・水、「とらばーゆ」の掲載は水曜日なので、木・金・月と日にちと曜日を表示する。
新聞も「とらばーゆ」も1週間の有効性しかないので、最大限の活用をする。
イベント(セミナーなど)をアピール
@ 応募者にとって職務上役に立つ情報、レアな情報を教えてくれたり、話してくれる催しは人気があり、効果があります。
A エキスパートを使っての、セミナーを毎週、あるいは月に1,2回行うことによって、専門の職種・業界をアピールする。
B セミナーの内容は、高度ではなく実際的で、具体的なものがよい。
「何々業界の現状と将来」「業界で求める人物像」「業界で楽しくお仕事するノウハウ」など。
販売系 : 「好印象を与える礼儀作法」「接客に役立つ英会話」
「日本で知られていない隠れたブランド」「カラーコーディネイト」
C 「お仕事相談会」は一方通行の感があるので
「マスコミ・広告・出版・商社など人気業界系希望者のためのお仕事相談会」、「人気が高い損保会社のお仕事相談会」
「初めての外資系、TOEIC550スコア以上の希望者の方のお仕事相談会」
「行きたかった業界へのキャリアチェンジを応援するお仕事相談会」
「人気エリア、大手町・丸の内・霞ヶ関・銀座・有楽町のお仕事相談会」
「私の大好きな町、横浜・湘南エリアでのお仕事相談会」
などのインパクトを与えるネーミングをつけた方がよい。
D 出張登録会は、応募者がお住まいのエリア、人気スポットが好評です。
会場は、交通アクセス、住宅、知名度の高いビル・ホテルを選ぶ。
リラックス出来る雰囲気づくり、紅茶・ケーキ付きが女性には人気。
E お仕事の相談・登録はお住まいのお近くの会場がよく、お仕事場は御希望の首都圏エリアの御案内が理想的です。
F プレゼントなどは実際には効果があがりません。
G スポット広告(絞り込んだ案件)に関しては、掲載が小さくなるので、採用人数・スタート時期・期間・仕事内容・資格・スキルなどを明記し、具体的な内容で、ミックス広告でなく一本化する。
H 条件マッチングに対して、フリーペーパ、アルバイト・パート対象の広告等を感覚マッチングとよびます。
カラー写真などで、清潔な仕事場、優しそうな上司、楽しそうな仕事仲間などを見ることが応募理由になることもあります。
ブランド力の利用
@ レギュラー広告に緊急の広告を入れる場合、枠組みをして普通のものと分けて、そこだけを強調する。
A ダブルインパクト広告(ダブルロゴ/ダブルカンパニー)
レギュラー広告もスポットも、派遣先企業の社名やロゴマークを入れるなど、先方の了解をとり、名前のブランド性を活用する。
応募者に派遣先も分かるし、安心して申し込める。
・派遣先の社名を明記せず、社名を分かってもらう方法。
「国際的に活躍し、日本を代表する大手の鉄鋼メーカー、勤務地 大手町」
「世界中から愛されるニューヨーク本社の宝飾メーカー、勤務地 青山」
「アメリカ系アウトドア用品、勤務地 日本橋」
「世界bP(世界屈指)のカードシステム会社、勤務地 丸ビル」
「ワシントンに本部を置く、国際的金融機関、勤務地 内幸町」
表示方法の工夫
@ 職 種 : テレホンオペレーター
仕事内容: お客様からのテレフォン対応/PC入力/郵送手配/事務
↓
【 職 種 : お客様相談室の相談員 仕事内容: お客様からの電話でのお問い合わせや商品に関するアドバイスなどの対応業務 コメント: 「あなたの気配りや、さわやかなお声が活かせます」 】
と変えたところ、80名の応募がありました。
A 時間給の表示は、正社員希望者は月給で考える方が多い
時給 1,600円 × 1日(7.5時間)× 21日就労で、月間 252,000円
としたほうが、就職希望者も応募しやすい。
B 応募者のイメージの先入観を利用する。
・ 派遣先が外資系企業の場合、好印象の国の場合、アメリカ系・フランス系・イギリス系と明記するが、そうでない場合単に「外資系」とする。
・ 勤務地も人気エリアは、大手町/丸の内/有楽町/霞ヶ関/新宿西口の高層ビル/銀座/澁谷/青山などで、住所で表示するか、駅名で表示するかを選択する。
(例:内神田3丁目の案件は、最寄の駅名「大手町」、湯島は「御茶ノ水」)
C 新聞・紙媒体の一人当たりの募集広告費は、規模にもよりますが、
事務職 : 4 〜 5万円
技術職(IT関連):20 〜 25万円
営業職 : 10 〜 20万円
メディカル職は少々上です。これより高ければ早急に工夫が必要です。
D 年間予算の配分は、1年間を通して1月と3月が長期切り替えの前ですので予算を十分に使って下さい。 秋の就職シーズンの9月10月、外資は11月12月の上旬、この時期に予算を費やすのが有効です。
・広告費の月間予算が1千万円なら一般企業の場合一度に使うほうが有効です
(何度も掲載されると人気がないと受け取られる)が、 人材派遣の場合は受注が沢山あると応募者に安心感を与えるので、4週に分けて使う。